高齢運転者の事故 免許返納を促す対策が急務

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高齢ドライバーによる痛ましい事故が相次いでいる。横浜市では10月下旬、集団登校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み、男子児童が死亡した。運転していた87歳の男性は「走ってきた経路が分からない」と話した。今年6月には、安曇野市で60代の男性が運転する軽乗用車が長野道上り線を逆走した。発見が早く惨事には至らなかったが、男性には高速道を走っている認識がなかった。

近年は、このような認知症が疑われる交通事故や違反が目立つ。警察庁によると、交通事故による死者は14年連続で減っているが、75歳以上が起こした死亡事故は450件余と高止まりしたままだ。このうち4割は免許更新時に受ける認知機能検査で認知症か、認知機能低下の疑いがあった。

人は年齢を重ねるに連れて視力が衰え、耳も遠くなる。車の運転に不可欠な判断力や注意力、運動能力なども低下する。今後も高齢ドライバーが増え続ける中にあって、認知機能低下による運転は重大な結果を招く危険をはらんでいる。高齢化社会を迎え、誰もが当事者となりうる切実な問題だ。

こうした状況を踏まえ、改正道交法が来年3月に施行される。75歳以上の運転者に対する認知機能検査の強化を打ち出したのが特徴だ。現行制度では、この検査を免許更新時に受けることを義務付けている。施行後は、信号無視や一時不停止など特定18項目で違反すると、あらためて認知機能検査を受けなければならない。認知症の疑いがあると判定され、医師に発症していると診断されれば、免許の停止か、取り消しになる。

高齢ドライバーが加害者となる事故が増加するのに比例し、運転免許を自主返納する高齢者が年々増えている。1998年から始まった制度で、昨年は全国で28万5000人に達した。県内でも昨年は4102人が返上し、前年の2981人を大幅に上回った。

自主返納を促す環境づくりも進んでいる。県内の市町村も公共交通料金を割り引くなどの特典を付けているが、まだ十分とはいえない。厳然たる車社会の県内で、免許を返納することは”生活の足”を失うこと意味する。健康に不安を感じてきた高齢ドライバーが安心して免許を手放す環境をどのように構築していいけばいいのか。社会に課せられた重い課題だ。

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