滝之湯堰と大河原堰 世界かんがい施設遺産に

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坂本養川(1736~1809年)が江戸時代に切り開いた茅野市の滝之湯堰と大河原堰が9日までに、「世界かんがい施設遺産」に登録された。歴史的価値の高い農業用水路の保存などを目的に、国際かんがい排水委員会(ICID)が創設した制度。今回は全国の14施設が選定され、県内での登録は初めて。滝之湯、大河原の両堰では、開削当時からの構造を守りながら水路を維持・管理し、養川の功績も後世に伝えようと努力している。

両堰は、ともに蓼科山から流れ出る滝之湯川を取水源とし、1785(天明5)年に滝之湯堰、その7年後に大河原堰が開削された。八ケ岳西麓に15本程度ある「養川堰」で最も古い滝之湯堰(総延長13・5キロ)は北山、湖東、豊平3地区の水田約456ヘクタールに、大河原堰(同14・4キロ)は玉川地区の同315ヘクタールに水を送っている。

滝之湯川からの取水口の構造は「芝湛」と呼ばれ、木や石で築いた小堤防で河川をせきとめ、取水している。下流域への水も確保するため、漏水させ全量取水できない構造になっている。現在も受益者によって、開削当時とほぼ同じ構造で維持管理されている。複数の河川を用水路で結ぶ「繰越堰」という水利体系は当時、水不足地帯の農地に水を分配する画期的な仕組みだったという。横谷渓谷にある大河原堰の人工滝「乙女滝」は観光名所にもなっている。

施設を管理している滝之湯堰土地改良区と大河原堰土地改良区が、登録に向けて合同で応募した。大河原堰土地改良区の原田薫理事長(77)、滝之湯堰土地改良区の牛山啓悟理事長(65)は共に、「登録は、命を懸けて堰を守ってくれた先人のおかげ」とし、「後世につないでいけるよう、子どもたちへの啓蒙活動も続けていきたい」と話している。

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