東日本大震災5年 伊那で集い 被災地とネット電話

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2011年3月11日の東日本大震災から5年となるのを前に、「5年目の3・11の集い」が5日夜、伊那市のタウンステーション伊那まちで開かれた。市民有志でつくる実行委員会が企画し、約15人が参加。復興支援活動を通じて交流のある岩手県陸前高田市や宮城県南三陸町の住民とインターネット電話などでつなぎ、復興の現状について語り合った。復興に向けた基盤整備が進む一方で、人口減少などの課題も指摘された。

会場には陸前高田市議会副議長の及川修一さん(59)を招いた。初めに全員で震災犠牲者に黙とうをささげた後、及川さんが同市の復興の取り組み状況について報告した。同市では震災関連死を含めて1550人が亡くなり、現在も207人が行方不明という。被災世帯数は約8000世帯に上り、約半数が津波被害だった。海岸では防潮堤の工事が進み、盛り土や高台の造成も進んでいると説明した。

ネット電話で参加した阿部裕美さんはもともと和食店を営んでいたが、現在は社協職員として災害公営住宅の市民交流スペースで働いているという。「これまでは苦しいと感じることもあったが、着々と盛り土が進み、中心市街地に店ができていくと先のことがイメージできるようになった」と話した。南三陸町の宮城県漁協志津川支所の佐々木憲雄さんは「漁業は回復してきたが、地域に戻って来ない人も多い。地域に根差す教育が必要だ」と指摘した。

会場の参加者からは「防潮堤や道路ができて故郷の風景が変わる中で、新しい街に愛着が持てるのか」との質問が出された。及川さんは「まだ海辺の道路は通りたくないという人もいるが、海がないと落ち着かない。潮のにおいがいい」と心情を語った。

実行委事務局長の若林敏明さんは「この5年間、一度も東北に行っていないという市民もいる。被災地を訪れても迷惑にならないか」と質問。現地からは「物見遊山でもいいので来てほしい。それが復興につながる」と温かい声が寄せられ、若林さんは「大災害にどう備えていくかは伊那でも大きな課題。ぜひお訪ねしたい」と応じていた。

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