2016年11月15日付

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先日、小社に中学生が職場体験にやって来た。コチコチに緊張して、言葉を詰まらせながらあいさつするさまは気の毒なほど。教員以外の大人と交わる経験も多くはない子どもにとって初めて感じる重圧だろう▼ノートを手に、カメラを提げて取材先で社会人として扱ってもらうと次第に顔つきも変わってくる。「人と接するのが苦手で普段はあまり話さない」と明かした生徒も懸命に質問を投げかけ、ペンを走らせながら自身の殻を破った▼原稿を書く段がまた難関だ。書き取ったつもりのメモから曖昧な言葉や推測を取り除いたら書くことがない。恥を忍んでもう一度、取材に行く。自分のミスに気づくたびに悔しがり、締め切り時間と闘ってようやくまとめあげた。生徒たちは「苦労の先にある面白さっていう意味が少し分かった」と晴れやかな笑顔▼新人はもちろん、経験を重ねた人でも、社会や新しい環境に身を置けば気疲れして自分を見失うことがある。周囲の要求に応えられない焦りが募り、力不足を痛感して心が折れそうにもなる。そんな時に支えとなるのはいつでも、「何のためにそれをやるのか」という確かな目的と、取り組む意志ではないか▼大手企業で若手が過労の末に自殺した出来事は、就労環境や働くことの意義を見つめ直す機会を与えてくれた。就労の大変さをかみしめた体験が、若者たちの先行きに役立てばと心から願う。

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