2016年11月22日付

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天竜川に鹿がいる―。近くで見たという男性が、伊那支社に情報を寄せてくれた。鹿が川を渡るのかと半信半疑で近くの河原を探していると、突然草むらから小鹿を含む5、6頭が飛び出し、水しぶきを上げて西側の茂みへ姿を消した。同僚がその姿をカメラで捉え、翌日の紙面で紹介することができた▼ニホンジカの上伊那地方の生息域は主に南アルプス側で西側の中アには少ないとされてきたが、中ア側の目撃情報が増えつつあり、南アから移っている可能性が指摘されていた。鹿の天竜川越えは、その推測を裏付ける行動だった。4年半ほど前の出来事だ▼鹿は、中アの生息域を徐々に広げているようだ。2013年には高山帯に設置された南信森林管理署のカメラが初めて雄鹿の姿を撮影。木曽側でも大桑村などで捕獲されており、岐阜県からも入り込んでいる可能性があるという▼鹿による食害は高山植物など植生や生態系へ影響を及ぼすだけでなく、山肌の露出による林地崩壊や土砂流出も引き起こす。特に中アは地質がもろく、鹿が増えれば災害や自然破壊の危険性が高まる▼中ア山麓で植樹による災害に強い山づくりを進める伊那市西春近諏訪形では、南アでの取り組みを参考に、鹿などを防ぐ防護ネットが設置された。南ア、中アに八ケ岳も合わせた、山域を超えた連携を目指す話も聞く。ぜひノウハウを共有し、山の環境を守ってほしい。

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