2016年11月24日付

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季節は冬へと移ろう。茶色が目立ってきた庭に赤色の実を見つけた。春になると黄色い花を咲かせるサンシュユの木だ。近づいて見ると、実は楕円形で光沢がある。宝石のように美しい▼マンサクと並び早春を告げる花だ。ようやく寒い季節を抜け出せる。そんな思いで毎年、黄色い小花を眺めてきた。でも、その後の季節の姿にはまったく無関心でいた。秋、葉に隠れてたくさんの実をつけていたのだ。江戸時代中期に朝鮮半島から薬用としてやってきた植物で、別名を「アキサンゴ」と呼ぶらしい▼ひょっとしたら―と部屋に飾ってあるポスターを見上げた。2013年4月、伊那市で開かれた星野富弘さんの「花の詩画展」。そこに描かれた絵が、なんとサンシュユだった。細長い葉の下にサクランボのような実が鈴なりについている。毎日漫然と眺めていて気付かなかった▼花言葉を調べると、「持続」「耐久」。口に筆をくわえて絵や詩を書き続ける星野さんの姿を重ねた。手足の自由を失いながらも、「負けるものか」という気持ちが伝わってくるようで、詩画展にふさわしい作品だと見直した。ポスターには、次の言葉が添えられている。〈私にできることは小さなこと でもそれを感謝してできたら きっと大きなことだ〉▼見ているのに見えていないことはたくさんある。当たり前のような日常のありがたさもそうだ。感謝して生きられたら。

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