近藤廉治さん功績振り返る しのぶ会に100人

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近藤さんの功績や思い出を振り返った「しのぶ会」

南信病院(南箕輪村)前理事長で、3月6日に死去した近藤廉治さん=享年(95)=をしのぶ会が4日、伊那市美篶の信州INAセミナーハウスで行われた。医療関係者や生前親交のあった人など約100人が出席。開放治療による精神科病院を全国に先駆けて開設した近藤さんの功績を振り返り、冥福を祈った。

近藤さんは飯田市出身。国立松本医学専門学校(現信州大学医学部)卒。県立駒ケ根病院(現こころの医療センター駒ケ根)院長、同病院付属看護専門学校長を経て、1972年、伊那市に南信病院を開設した。98年には病院を現在地に移転。日本精神病院協会理事や県精神病院協会長などを歴任した。精神科では閉鎖病棟が一般的だった時代に、同病院では鍵や格子を取り払った全開放病棟を導入。患者自身が買い物や洗濯を行うなど画期的な取り組みが評価され、全国から多くの見学者が訪れている。

生前は患者のために手品や落語を披露する機会が多く、伊那マジッククラブでも活動。伊那市美篶公民館へは寄贈した本で「芽と実文庫」を開設し、落語家を招いた寄席も開いている。また地域づくりへの思いも熱く、長野日報では「住めば都・上伊那地方の未来を考える14の夢物語」(2015年)など、複数の寄稿を掲載している。

しのぶ会では、医療関係者などが近藤さんとの思い出を語った。南信病院で非常勤医を務めたかとうメンタルクリニック(松本市)院長の加藤信さんは、近藤さんとのエピソードを紹介し、「事挙(ことあ)げをせずを信条にやってこられた。非常に創意工夫のある方だった」と評価。信大医学部精神医学教室教授の鷲塚伸介さんは「患者を病人扱いせず、普通の人として接していた。代理行為もしなかった」と振り返り、開放病棟の先駆者である近藤さんの死を「まさに巨星落つ」と悼んだ。

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