映画「怪物」 全国公開、上々の発進

映画「怪物」の公開初日の様子。雨天の平日にもかかわらず多くの人が鑑賞に訪れ、関心の高さを示した=2日、岡谷スカラ座
諏訪地方がメインロケ地となった是枝裕和監督の最新作でカンヌ国際映画祭脚本賞受賞作「怪物」の興行収入が公開3日間(2~4日)で3億2541万円を記録したと、配給会社が発表した。全国341スクリーンで上映され、23万1137人が鑑賞した。諏訪地方唯一の映画館「岡谷スカラ座」(岡谷市)でも3日間で1000人を超え、好スタートを切っている。
映画館「TOHOシネマズ」が行ったアンケートによると、客層は女性の割合がやや多く、年齢別では50代が32.9%、次いで20代が20.1%などとなったという。
諏訪地方観光連盟諏訪圏フィルムコミッション(FC)は公開に合わせ、ロケ地マップを1万部製作。県内の劇場や全国の観光情報センター、フィルムコミッションに配布したが、映画館での配布が好調で、増刷を行う方向で調整を進めている。
諏訪圏FCの宮坂洋介さんは「大ヒットスタートをうれしく思う。一人でも多くの人に届くとうれしい」と語った。岡谷スカラ座では鑑賞者にロケ地マップを配布してきたが、すでに残り少なく、松下京一支配人は「反響の大きさを感じている。より多くの人に見てほしい」と話している。
同作は息子を愛するシングルマザー、児童思いの小学校教師、さまざまな思いが交錯する小学5年生のそれぞれの視点で描かれる。互いに食い違う主張が誤解を生み、やがて社会を揺るがす事件へと発展していく。
撮影は昨年3~8月の計3カ月間、諏訪地方の4市町計25カ所で行われ、延べ700人以上が地元エキストラとして参加した。カンヌ国際映画祭では脚本賞のほか、LGBTQなどの性的少数者を扱った作品から選ばれる「クィア・パルム賞」も受賞した。