富士見の釜無川沿い アライグマ「定着」か

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富士見町の釜無川沿いの集落で5月25日に捕獲されたアライグマ(町役場提供)

富士見町落合の釜無川沿いの集落で、生態系に影響を及ぼす恐れがある特定外来生物のアライグマが、昨年9月と今年5月の2回にわたり捕獲されたことが分かった。ともにシカやサルなどの獣害対策用のわなに掛かっていた。2年連続で個体が確認されたことから、町と県諏訪地域振興局は「定着している可能性が十分考えられる」と説明。全国各地で深刻な農業・家屋被害も出ており、対策の検討に乗り出す考えだ。

町産業課によると、5月25日に捕獲したのは雌で、猟友会員が仕掛けたわなに掛かっているのが見つかった。昨年9月には、近接の集落で同じくわなに掛かった雄を捕獲した。町内では2017年度にアライグマとみられる中型獣がセンサーカメラに映ったとの情報があったが、それ以降しばらくは、目撃や捕獲、痕跡確認などの情報は寄せられていなかったという。

県によると、県内では77市町村のうち40市町村で生息が確認されている。諏訪地域は出没や被害が目立たず単発的な確認にとどまっていた。ただ、富士見町に接する山梨県内では生息数と生息域の拡大がみられ、諏訪地域の県鳥獣保護管理員の中には山梨から侵入・定着した可能性を指摘する声がある。

アライグマは1970年代以降、テレビアニメの影響もあってペットとして輸入されたものの、飼育放棄などが起きて野生化したとされる。全国で年間3億円以上の農作物被害を出しているほか、屋根裏への侵入による家屋の被害が深刻化。雑食性で在来の小動物や鳥のひななども食べる。

同課は、振興局の関係課や町猟友会などと連携し、必要な対策について研究を進めていく考え。生態や他の中型獣との識別方法を知る機会も必要との認識を示す。名取重治町長は取材に対し、「シカとサルの被害が目立つが、ハクビシンを含め中型獣の農業被害も出ている。耕作意欲を低下させないためにも、対策を考えて実行していきたい」と話した。

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