読書会「落穂拾いの会」 42年の活動に幕

42年間の活動に幕を下ろした読書会「諏訪文学落穂拾いの会」。例会450回余、読み下した本は185冊に上る
発足して42年、諏訪に縁のある作家、諏訪を舞台にした小説など「諏訪を描いた文学」を中心に、読み合わせを続けた読書会「諏訪文学落穂拾いの会」。9日、最後の例会を開いて長年の活動に幕を下ろした。例会は月1回、450回余を重ね、手にした本は185冊。描かれた時代や背景などに触れながら1冊ずつ丁寧に読み下した。当初30~40代だった会員は現在70~80代。「学び得た全てを財産に、今後も活字に親しみ、文学への関心を持ち続けたい」としている。
落穂拾いの会は、集団読書会が評価されていた1981年、諏訪市城南小学校PTA教養委員会の講座として始まった。参加者は回を増すごとに読書欲を高め、講座終了後は地域住民の読書会として継続した。講師は開講以来、下諏訪町教育長などを務めた島木赤彦研究会名誉会長の小口明さん(89)=下諏訪町南高木。
最初に取り上げた作品は新田次郎の「強力伝」。以来、藤原てい、平林たい子、島崎藤村など小説、児童文学、戯曲、随想とその分野は多岐にわたり、「平家物語」は6年余かけて読み終えた。
作品の中にはすでに絶版もあり、小口さんはガリ版刷りやコピーをして製本、あらすじや解説をまとめた「副本」も用意し、学校管理職などで多忙を極めた時代も休むことなく読書会は続いた。
小口さんは最終例会にあたり、発足のきっかけや読んだ本の一覧表、エピソードも交えて11ページの手書き小冊子を作り、半世紀近い歴史を振り返った。「自分も学びの場となった」と感謝、「学び得たことが次代にも伝えられたら」とあいさつした。
発足当初からメンバーだった小松孝子さん(79)は、「読書会の本や資料は書棚を占め、作品の舞台となった各地を訪れて、講師や仲間と共鳴し合ったことは良き思い出」。平林幸さん(87)は、「会員が貴重な情報を持ち寄って理解を深め、想像を広げ合ったことで文学の醍醐味を実感した。読書会ならではの宝物。これからも文学に興味を持ち続けたい」と結んだ。