2023年6月13日付

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県の水防協議会の取材で県の水防計画書に目を通していたら、「牛枠」という記述が目に留まった。恥ずかしながら初めて知った言葉で、その場でスマートフォンで検索してしまった▼国土交通省のサイトには、伝統的河川工法の一つで、「1本の合掌木にむね木を斜めに載せ、合掌木の脚をはり木で連結して四面体の枠」を作り、「重りの蛇籠を載せて沈めます」という。「形が牛に似ており、杭打ちのできない玉石や砂利の河川で水制や根固めに適した工法」とのことだ▼計画書では水防倉庫に備蓄するよう努めるものとして、「空俵類」「なわ」「むしろ類」などと並んで長さ1・5~4・5メートルの木材が牛枠用として示されている。この日の会合では牛枠について、「今は堤防が決壊したからといって、そんな危険な場所で木を組み立てるような活動はどの地域の消防団でも絶対行わない」という趣旨の苦言が呈されていた▼「昔のやり方で、現実的でない。危険な所は建設機械で行うなど、内容を精査して、現代に合ったものを配備してほしい」との要望だった。確かに、ただでさえ人手不足の消防団では難しい作業だろう▼河川監視カメラや水位計などの情報をスマートフォンからチェックできる時代だが、水防と言えばまずは土のうを用意するのは江戸時代も今も同じ。古人の知恵と現代技術をうまく組み合わせて対策していく必要があるのだろう。

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