諏訪市 上諏訪駅周辺整備第1弾に文化センター

LINEで送る
Pocket

諏訪市の金子ゆかり市長は12日開会の市議会6月定例会で、JR上諏訪駅周辺の一体的整備の第1弾として、市文化センターの大規模改修を進める方針を示した。2023年度に基本設計、24年度に実施設計、25~26年度に工事を行い、27年度のリニューアルオープンを目指す。一方、保存活用に必要な改修費用は20年度に試算した28億円を上回る見通しで、議員から財源や維持管理の見通しを尋ねる質問が相次いだ。

市は今年2月の市議会3月定例会で駅西口広場と諏訪湖イベントひろば(旧東洋バルヴ諏訪工場跡地)、市文化センターを一体的に捉えて整備を進める方針を示した。金子市長は12日、文化センターを「産業をけん引した企業に由来する遺産であり、国の登録有形文化財」とし、「文化財の価値を保ちつつ、現代にふさわしい活用ができる施設としてリニューアルオープンを目指す」と語った。

議案質疑では、高木智子氏(無所属)と小泉正幸氏(市民第一)、井上登氏(共産党)、岩波万佐巳氏(無所属)が質問。一体的整備の全体像が見えないことなどから「拙速だ」(高木氏)と指摘したほか、財源や維持費、稼働率、機能やスケジュールを尋ねる発言が続いた。

市側は、検討会を設置して存続の意向を確認するなど「(金子市政2期8年で)段階を踏んで進めてきた」と説明。費用は基本設計の中で見極めるとし、文化庁や国土交通省の補助を検討する意向を示した。西口広場と旧東バル跡地の方向性は今定例会の常任委員会に報告するとした。

試算だと、改修経費の内訳は工事費が21億円、仮設費と管理費、消費税が約7億円。工事費のうち、耐震化などの「安全の確保」が約15億4000万円、集会室や舞台設備の充実などの「集いの場の整備」が約4億8800万円、座席や楽屋の改修など「魅力の発信」が約6700万円。工事期間は18カ月を見込む。

市は、大規模改修の基本設計委託料1800万円を計上した今年度一般会計補正予算案を市議会6月定例会に提出している。常任委員会は21日、採決は最終日の28日に行われる予定。

◇諏訪市文化センター◇ 1962年、北澤工業(後の東洋バルヴ)が福利厚生施設「北澤会館」として建設。77年に諏訪市に移管された。904席のホールと三つの集会室がある。2014年に国登録有形文化財に登録された。コロナ前の19年度の利用者は12万8227人。

おすすめ情報

PAGE TOP