2023年6月14日付

LINEで送る
Pocket

国連難民高等弁務官事務所によると、2020年末時点で紛争や迫害、暴力、人権侵害などで自国から隣国など他国へ逃れた難民の数は8240万人。難民の受け入れを行うのは86%が開発途上国、14%が先進国とされている▼同じく20年の数字で先進国はドイツが約6万3000人、カナダ、フランス、アメリカが1国当たり1万8000~1万9000人の難民を受け入れ、日本は47人(認定率約1%)にとどまっている。日本は難民としてではなく、人道的見地から在留を認めたり、難民を受け入れる国へ多額の経済的支援を行ったりしている側面もある▼だが、基本的に難民認定の基準は他の先進国に比べて厳しく、認定までの期間も3~4年と長い。外国人の入国では長崎県の入管施設で3年7カ月の長期収容の末、ハンガーストライキによる抗議で餓死したナイジェリア人男性(40代)への人権侵害も記憶に残る▼今月、外国人の送還や収容に関する改正出入国管理・難民認定法が成立した。難民申請中の人は送還をしない現行法から、3回目以降は申請中でも相当の理由がなければ強制送還が可能になる。送還を避けるために何度も難民申請を繰り返す人の対策を含んでいる▼日本の厳しい難民認定の陰には、要件に該当しながらも不認定に泣いた人がいたはずだ。送還されたら死と向き合う立場の人がいる。人の尊厳を守る法の判断を望む。

おすすめ情報

PAGE TOP