霧ケ峰林野火災 富士見台など植生調査へ

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植生影響調査を実施する箇所の一つ霧ケ峰・富士見台。林野火災で4分の3ほどが焼けたが、草原再生が進み、ニッコウキスゲの芽も出始めている=15日朝

茅野、諏訪両市にまたがる霧ケ峰で5月の大型連休中に起きた林野火災で、県環境保全研究所は15日、諏訪市内で開いた霧ケ峰自然環境保全協議会で、今後本格実施する動植物への影響調査の内容を示した。延焼地と非延焼地で開花状況を比較するほか、草原を好む鳥やチョウへの影響を調査。10年前に同じ霧ケ峰で起きた大規模火災後にはシカの出没が増えたとのデータがあり、新芽を目当てに植生地への入り込みが増えないかも調べる。

植物関係では、ともにニッコウキスゲの群生地で、4分の3ほどが焼け焦げた富士見台と、延焼を免れた車山肩に調査区を設置。8月にかけて植物の出現種や開花数を調べる。シカよけ電気柵の内外に調査区を設定し、周辺へのシカの出現状況も見極める。

富士見台では現地調査のほかに、協議会の許可を得て小型無人機ドローンによる空撮を行い、植物の開花状況を面的に確認する。また、衛星画像を利用し、植生そのものが季節を追って回復するかを経過観察する。動物関係の草原性鳥類の調査はノビタキやホオアカ、コヨシキリなどの生息状況に注目しながら焼失範囲の内外で実施する。

植生影響調査は10年前の大規模火災後も行っており、同研究所によると、比較検討できるよう今回もほぼ同じ内容にした。前回調査では火災による植生や鳥、チョウ類への影響は見られなかった。

同研究所(長野市)の須賀丈自然環境部長は「(約166ヘクタールという)広範囲が焼けたが、多くの植物が葉を展開する前であり、成長や残存に深刻な影響はないだろうと予測している」と述べた。その一方で、植物の食害や踏み荒らし被害をもたらすシカの出現が増える恐れを指摘。霧ケ峰の道路沿いでの夜間出現状況調査(ライトセンサス)、部分的に設置する赤外センサーカメラで今後の動向を注視していくとした。

調査結果は来年2月の協議会で報告する。協議会は霧ケ峰に関わる行政機関や地権者団体、観光事業者などで構成している。

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