千代田湖で外来ザリガニ釣り 7月にイベント

特定外来生物ウチダザリガニ釣りのイベントへの参加を呼び掛ける石井さん
伊那市高遠町藤澤の千代田湖に生息する特定外来生物「ウチダザリガニ」を捕獲する釣りイベントが7月2日午前9時半から、同湖で開かれる。同市地域おこし協力隊の石井基裕さん(32)が、環境維持活動や外来生物への理解を深めてもらおうと計画。食用として国内に持ち込まれた経緯も踏まえて実際に食べる企画も用意し、親子で楽しみながら外来生物の影響や「命を頂く」意味などを考える。
◆在来生物捕食や河岸浸食懸念◆
ウチダザリガニは最大体長約15センチの淡水性ザリガニ。主に暗緑色で、大きなはさみを持ち、頭部の先端がとがっている。カナダやアメリカに自然分布し、日本には食用として持ち込まれた。在来水生生物の捕食や巣穴作りによる河岸浸食などの影響が懸念されているという。
千代田湖は広さ約1・7ヘクタール(満水時)で、数年前にウチダザリガニの生息を確認。国の法律により生きた状態での持ち出しは禁止されている。石井さんは環境問題について学んでいて、ウチダザリガニの活用に着目する料理屋「ざんざ亭」(同市長谷)や市内の自然保護活動に取り組む企業・伸和コントロールズと話し合う中で今回の企画を思い付いた。
◆子どもたち 学び触れる機会に◆
当日は竹ざおにたこひもを結んだ釣りざおを使い、スルメをエサにする昔懐かしい形式で釣る。希望者には事前採取して調理した「ザリガニランチ」(1食1000円、事前予約制)の提供もある。
石井さんは外来生物の存在を伝えることで子どもたちが学び、触れる機会にしてもらう考え。食材としての活用は自然界の循環にもつなげる。外来生物が他地域に広がることを防ぐ意識向上も重視する。
「人と外来生物は生活圏が離れているため、自分たちの問題として捉えにくい」と石井さん。「自分で釣り、生き物の命を頂くことで地域の外来生物や環境に触れてみて」と話している。