2023年6月21日付
食品スーパーで買い物をしていると、駄菓子コーナーを見掛けることが多くなった。きな粉棒やカップに入ったヨーグルト風のクリームなど懐かしい菓子がずらり。郷愁に誘われてつい大人買いしてしまう▼「思い出の味は」と問われれば子どもの頃に食べた駄菓子がいくつか思い浮かぶ。今のコンビニに並ぶ菓子の味には遠く及ばないが、小銭を手に気に入ったお菓子を選び、購入すること自体が幸せだった。時代を問わず、お菓子には人を元気にする力があるように感じる▼全日本菓子協会のまとめだと、2022年の菓子業界の小売額は3兆4361億円で、前年を4・2%上回った。社会経済活動の回復や人の流れに活性化が見られる一方、原材料費の高騰に伴う商品価格の値上げもあり、社会変化に応じた対応や工夫が求められているそうだ▼弊紙上伊那版には今月、さまざまな菓子を紹介する記事が掲載された。「伊那バラフェスタ」に合わせて開発した和菓子、地元産イチゴのおいしさをアピールするために週替わりで提供するスイーツなど、いずれも紙面に彩りを添えてくれた▼伊那市の菓子庵石川はたんぱく質を手軽に摂取できる「マッスルゼリー」を発売。同社専務の石川雄也さんが長男の難病を機に開発した商品で、売り上げの一部は難病支援のために寄付するという。商品化のストーリーも隠し味となり、お菓子から元気をもらった。