難病とともに詠む短歌 諏訪の飯島さんが歌集

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酒井保さん(右)のサポートを受け、パーキンソン病を患いながら歌集「風越山」を作った飯島雪子さん=20日、諏訪市のイリーゼ高島城で

難病のパーキンソン病を患いながら、半世紀以上にわたり短歌に親しむ諏訪市高島の飯島雪子さん(85)が、同じ施設に入居する俳句愛好者の酒井保さん(85)=同市=の力を借り、手作りの歌集「風越山」を作った。文字を書くことが難しいため、酒井さんが手書きをし、飯島さんがこれまでに詠んだ約380首を収めた。最初で最後の歌集にして「短歌は一区切りにしたい」と飯島さん。「上達はしなかったけれど、いい人たちに出会った。幸せな歌集ができた」と話す。

二十数年前に発症し、10年ほど前に故郷の飯田市から長女が暮らす諏訪市へ移り住んだ。今は介護付き有料老人ホーム「イリーゼ高島城」に入居している。

本が好きで通っていた飯田図書館で偶然開かれていた飯田アララギヒムロの歌会を見学し、短歌と出合った。日常生活を歌に詠み、短歌誌「ヒムロ」に毎月投稿した。諏訪に移ってからも難病とともに生きながら短歌に親しみ、病室の窓に映し出された景色をこう詠んだ。あかときの 晴れたる空に一群れの 鳥越え行けり遥かな峰を――

同施設で毎月2回開く吟詠教室の講師を務める酒井さんは、飯島さんの短歌を「年齢を思わせないみずみずしい感情と、自らにして備わった気品とが読み取れる」などと評する。形として残すことを勧め、85歳の誕生日に向けて歌集作りに着手。文字を書くと「次第にアリのような字になっていく」という飯島さんを全面的に支え、これまでの投稿歌や、飯島さんがその場で詠んだ歌を原稿用紙に1字1字丁寧に書いた。

酒井さんと一緒に今月、富士見町原の茶屋の富士見公園を45年ぶりに訪れ、伊藤左千夫らアララギ派歌人の歌碑を見上げた。自分が短歌や俳句が盛んな諏訪にいる喜びを感じるという飯島さん。「短歌は人生を語るもの。(歌集を読むと)いい人たち、すてきな人たちに出会ってきたなあと思う」と振り返り、「いい歌に出合うと暗記するまで読み返す。自分が詠むのはこれで区切りとしますが、今後も短歌に親しんでいきます」と話している。

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