霧ケ峰のシカ増加 林野火災との関連性は不明

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初回の調査で延焼地をライトで照らし、シカの出現状況を調べるメンバー。計4回の春調査での平均発見頭数は177頭となり、昨春より30頭ほど増えた=5月28日夜、霧ケ峰・富士見台

諏訪、茅野、下諏訪の3市町にまたがる霧ケ峰で、県環境保全研究所と県霧ケ峰自然保護センターは20日夜、今春最後のシカの出現状況調査を行った。5月の大型連休中に起きた林野火災に伴う個体数変化が注目された中、計4回の春調査の平均発見頭数は177頭となり、昨年春より約30頭増えた。ただ、焼け跡からの新芽を狙って出没が増えたかなど火災との関連性は現時点で評価できず、今秋と来春の調査結果をみる必要があるとした。

車を低速走行させながら道路両側の草原や樹林帯にライトを照らし、光るシカの目から頭数を把握するライトセンサス調査。春と秋におおむね4回ずつ、茅野市大門峠-諏訪市強清水(16キロ)、八島ケ原湿原-踊場湿原(10キロ)の2ルートで行っている。

発見頭数は5月28日178頭、6月5日234頭、9日152頭と推移。最終となる20日夜は、霧ケ峰パークボランティアを含め8人が調査に参加し、濃霧で視界が30メートル程度になる地点もある中で144頭を確認した。

同研究所(長野市)自然環境部の黒江美紗子さん=哺乳類生態学=によると、大門峠-強清水ルートでの発見が多く、20日夜も144頭のうち101頭を占めた。この調査ルートにはガボッチョ(カボッチョ)山、富士見台、伊那丸富士見台などの火災延焼地が含まれる。緑が回復する一帯への出没もあるが、東側に外れた延焼範囲外での発見数が多かったという。

霧ケ峰では10年前の2013年4月、より広範囲を焼く大規模火災が発生。翌年春のシカの調査では平均発見頭数が226頭と突出した数字になった。今回も1回の調査で234頭を確認する日が出ており、部分的に赤外センサーカメラも設置して動向を注視する考えだ。

同研究所は今回の火災による植生や鳥、チョウ類への影響調査に着手している。鳥類について調べる堀田昌伸さん=鳥類生態学=は「火が入った場所、そうでない所で2回調査したが、現時点では何も言えない」と話した。

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