2016年12月07日付

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「八ケ岳ブルー」と呼ぶそうだ。抜けるような青空と複雑な稜線を描く八ケ岳の山並み。秋から春にかけて、信州の空の青が鮮やかさを増す時期の景色を指す。先日の本紙諏訪の1面に美しい写真が掲載された▼記事に誘われて、好天の日に天を見上げてみた。冬の澄み切った空は本当に青い。まるで吸い込まれるようである。八ケ岳南麓の観光関係者を中心に数年前から使われ始めた言葉だといい、岳麓地域のアピールとして人を引き付ける力は十分といった印象だ▼それはそれで素晴らしいけれど、魅力的な空の景色をさらに挙げるなら、夜明けの絶景をお薦めしたい。真っ暗だった東の山の端が、日の出を前に徐々にオレンジ色に染まっていく。空は闇の黒から濃紺色、そして青色へと微妙に変化する。冬を中心に見頃となる光と色のショーである▼「かぎろい」という呼び方もあるという。飛鳥時代の歌人柿本人麻呂は、自然が織り成す鮮やかなあけぼのに心情を重ね、「東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ」と詠んだ。一日が始まる風景は万葉の昔から人の心を揺さぶってきた▼こうした夜明けの美しさが際立つ時期になると、いろいろなことがあった今年も残りわずか。漆黒の空が次第に明るくなる様子は、明るい新年を期待させるものでもある。残り3週間余。来年がいい年になるよう、まずは2016年をしっかり締めくくりたい。

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