伊那市観光 経営再建へ3カ年の経営計画発表

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伊那市観光から指定管理を解除する方針が示された日帰り温泉施設「みはらしの湯」

経営再建に取り組む伊那市の第三セクター伊那市観光は26日、2025年度までの3年間で純利益2000万円達成を目指す中期経営計画を発表した。山小屋やパン屋など好調な分野の増収を強化しつつ、飲食関連の営業方針を見直す。日帰り温泉施設「みはらしの湯」と「さくらの湯」は収益化が難しいことから市の所管に戻し、新たな指定管理者を探す方針。年度ごとに計画や目標の検討を行い、将来的な経営健全化を図る。

同社は市内の宿泊施設2カ所や山小屋4カ所、温泉施設2カ所、道の駅「南アルプスむら」のパン店を指定管理者として管理運営。20年から人員整理など組織再編に取り組んできた。昨年度(第26期)決算は、純利益878万円を計上。新型コロナウイルスの社会的な制限が緩和され、国内旅行の需要回復などにより宿泊施設の収支が改善したほか、山小屋やパン屋の好調から社全体で黒字化が進み、今期を中期経営計画に至る基点とした。

南アルプスと中央アルプスで展開する山小屋事業は平日の利用増加と安定化を目指し、インターネット予約による利便性改善や食事・サービス内容の向上を盛り込んだ。パン屋事業は人気商品のクロワッサンを先頭に売り上げが安定しているが、技術やノウハウの伝承が課題のため後継者の育成に取り組む。増産に向けたスペースの検討も進める。

高遠さくらホテルと仙流荘の宿泊部門はシーズンごとにターゲット層を明確化したプランの提供、ビジネス利用による平日稼働率の向上などを挙げる。飲食部門は小規模の宴会や婚礼の受注を増やし、地元利用の回復につなげる。

日帰り温泉の2施設は以前から住民の利用が多数だったが、人口減に伴う利用者減少などのため経営に苦慮。昨年度決算では、みはらしの湯が2607万円、さくらの湯が1313万円とそれぞれ赤字となり、市からの支援金で賄った。今後は市民のための福祉施設に位置付け、指定管理者を変更する予定。当面は同社が経営を担う。

白鳥孝市長は「再編は痛みを伴ったが、取り残されてきた課題などを解消して、きちんと利益の上がる会社のスタートが構築できた。今後も健全経営と成長を目指したい」と話した。

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