2023年6月27日付

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「ものは極上です」―。駒ケ根市東伊那財産区は、今春から管理する山林の間伐材をまきにして販売し始めた。財産区が市役所東伊那支所駐車場の一角に設けた小屋には、まきとして上質なナラやクヌギをはじめ、よく乾燥したアカシア、アカマツなどが並ぶ。好調な売れ行きで、今は予約制で販売している▼一方、上伊那森林組合(伊那市)が生産するストーブ等燃料用の木質ペレットは、昨年度の生産量と販売量が共に過去最高を更新した。冬季の冷え込みが続いたことなどを背景に需要が伸びた。地元の原料で燃焼後の灰が少ないなどの特長もあり、人気が高いという▼二酸化炭素などの温室効果ガスによる地球温暖化の抑止意識は、次第に一般にも普及し、化石燃料よりも二酸化炭素の排出量が少ないとされるまきや木質ペレットへの転換が加速している▼林業大国で、県や伊那市と技術交流の覚書を交わすフィンランド北カルヤラ県のマルクス・ヒルヴォネン知事が昨年伊那を訪れた際、取材中の雑談で「木材量は当県より長野の方が圧倒的に多い。もっと森林資源を使えばいい。技術は提供する」と言った▼日本の林業は1950年代の木材の輸入自由化で国産材の価格が下落し、長い低迷期に入った。それに伴う担い手不足や人工林の荒廃など課題は多い。時代の変遷を経て改めて森林資源見直しの兆しがある今を林業再興の足掛かりにしたい。

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