JR東海と伊那3組合 森林の里親協定締結

森林の里親基本協定を締結した関係者ら
JR東海(東京都)と上伊那森林組合(本所・伊那市)、同市長谷の溝口、黒河内の両生産森林組合は27日、「森林の里親基本協定」を締結した。長谷にある約200ヘクタールの森林での整備活動に協働で取り組み、南アルプスの森林づくり推進を図る。期間は2028年3月末まで。伊那市役所で締結式を開き、県と同市の立ち合いの下で関係者が署名した。
同協定は森林の整備促進のため、意欲のある企業と地域を県が仲介する。03年度に始まり、昨年度末までに累計163件の協定が結ばれた。
JR東海は環境保全や生物多様性に関わる取り組みを展開する一環で、これまでも南アルプス地域で活動。今回の協定では、同組合と両生産森林組合が森林の長期管理を目的に策定した計画に基づいて支援を行う。具体的な支援内容は年度ごとに見直しを行いながら検討するという。
JR東海中央新幹線長野工事事務所の杉浦禎信所長は「地域の皆さまと共に自然環境の保全に向けた取り組みを進めることで、地域の活性化や環境保全活動を支えることが大切。より一層貢献していきたい」と話した。
上伊那森林組合の白鳥孝代表理事組合長(伊那市長)は「継続的な整備を続ける中で、協定の締結は大きな弾みになる。森林は多面的な機能を持つため、活用しながら後世に引き継ぐことが重要な責務」と述べた。
溝口生産森林組合の西村公一組合長理事と黒河内生産森林組合の原田徳三組合長理事も、獣害対策への支援の重要性や広い森林を組合だけで管理する困難さなどを挙げ、協定による整備促進に期待を寄せていた。