兎束さん村民栄誉賞 宮田村が第1号に選出

18世紀にイタリアで製作された愛用のビオラで練習に励む兎束さん
宮田村は、村の表彰規定に定める村民栄誉賞の第1号に、宮田村ふるさと大使で元東京音楽大学学長の兎束俊之さん(84)=同村新田=を選出した。同村に住み、「地域に一流の音楽を」を目標に、今年で20回目の節目を迎えるアンサンブル信州in宮田定期演奏会で、ビオラ演奏と音楽芸術監督を務め音楽文化を広めた。表彰式は7月7日の定期演奏会に合わせて行う。
兎束さんは東京芸術大学卒業後、NHK交響楽団に入団。1968年渡独。70年からバイエルン放送オーケストラ、ベートーベンハレ・オーケストラ主席ビオラ奏者。96年からミュンヘン国際コンクール弦楽四重奏部門、ビオラ部門の審査員を歴任。2001年から05年まで東京音楽大学の学長。現在は同大学名誉教授。
皇室との関わりも深く、現天皇陛下には約40年にわたりビオラの指導をしてきた。
宮田村には「かつて住んだミュンヘンの空気感がある」と2008年、村の勧めで現在地に自宅を建設。東京との往復生活をした後、18年から完全移住した。アンサンブル信州in宮田を通じ、小中学生に一流の音楽を提供するほか、吹奏楽指導などで技術の向上を促進するなど音楽文化の浸透に尽力した。
村はアンサンブル信州in宮田が20回の節目を迎えたのに伴い表彰審査会を開き、兎束さんの表彰を決めた。
兎束さんは「過去にこうしたすごい表彰をいただいたことがなく、この上ない名誉」と喜びを表す一方「自分は音楽をしてきただけ」と謙虚に受け止める。今後の定期演奏会については「支えてくれた人たちの年齢にも配慮し、これからは無理せずに音楽に親しめる機会にできれば」と話している。
表彰式は7月7日のアンサンブル信州in宮田(午後7時、駒ケ根市文化会館)の第2部と3部の間に行う。