2023年7月4日付
ロボットアームが設置された組み立てライン上に並ぶ車の列。小学生の頃、社会見学で訪れたトヨタ自動車の工場はさながらSF映画の世界。その迫力に圧倒された。時代は自動車産業に端を発した日米貿易摩擦の真っただ中。世界を席巻する日本車の製造現場を誇らしく眺めた▼何をどのように造っているのか。身近な製品であればあるほど興味が湧く。普段、足を踏み入れることのないものづくりの現場。実際に見て、触れて、体験できる工場見学には知的好奇心をくすぐる魅力がある▼旅行情報誌「じゃらん」が昨年8月に発表した「童心にかえって楽しめそうな工場見学ランキング」によると、1位はお菓子のテーマパーク「グリコピア・イースト」(埼玉県)、2位は「リカちゃんキャッスル」(福島県)、3位は「カップヌードルミュージアム」(神奈川県・大阪府)。上位には製造や試食を体験ができる食品系の工場が目立った▼子どもの自由研究から大人の社会見学まで、お金を掛けずに学び、楽しめるのが工場見学の醍醐味。企業にとっては会社や製品をPRする機会にもなっているようだ▼長野伊那谷観光局が6月に実施したツアー「大人の社会見学」。伊那市のみそ製造会社では参加者が仕込み作業に挑んだ。「実際に体験できるのが面白い」とツアーを満喫する地元参加の男性の笑顔に、地域の魅力を再発見したような気がした。