休館中も身近な文化触れて 箕輪町郷土博物館

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出前講座で、子どもたちに昔の農具の使い方を教える町郷土博物館職員=箕輪南小学校

箕輪町は、老朽化が進む町郷土博物館の耐震補強・改修工事を進めている。来年3月末に完了し、安全で一層親しみのある施設へと生まれ変わる見込みだ。ただ、工事に伴って施設は利用できず、コロナ禍を経て戻りつつあった来館者は行き場を失ってしまっている状況。同館は、出前形式での講座や収蔵品展示に精力的に取り組むなど、あの手この手で、住民たちが歴史や文化に触れる機会を設けていく考えだ。

同館は1974年度に建設。鉄骨造り2階建てで、延べ床面積は約700平方メートル。耐震基準を満たしておらず、天井裏などにアスベスト(石綿)を含んだ建材が使用されている。

5月に始まった工事では、耐震性を高めるために各所に補強材を加えるなどし、天井裏などに含まれるアスベストを除去していく。計画だと、1階部分は様変わりする。物置きスペースを図書・講座室に生まれ変わらせて、スペース不足などからできなかった館内での講座開催の実現を目指す。ゆったりとしたエントランスホールは、誰もが自由に使える場所にしたい考え。「『小難しそうで入りづらい』とのイメージを変えられるような、気軽に立ち寄ることのできる施設にしたい」と同館職員らは意欲を見せる。

工事に伴い、事務所を同館前の産業支援センターみのわ内に移転。収蔵品は町内にある二つの収蔵庫に”避難”させ、分類作業を進めている。

同館の年間利用者は、2018年度で延べ約2400人。新型コロナウイルスの影響で同年度の半数に届かない年が続いたが、昨年度は7割ほどへと徐々に回復してきた。ここからというタイミングでの休館を、残念がる職員たち。博物館離れを食い止めようと、今年度は収蔵品の企画展を2回開く計画を立てた。5日には、町内から出土した縄文土器などを集めた展示会をスタートさせる予定だ。会場は町文化センター展示ホール。収蔵庫から慎重に運び込んで、”出張”展示する。

職員が出向いて歴史や文化などを紹介する出前講座にも、精力的に取り組む。用意したメニューは約20講座。メニューにはない講座の要望にも、柔軟に対応。昨年度は学校や地区などで計26回の講座を行うなど、依頼回数は増えつつある。同館は「休館中でも、文化や歴史に触れてもらい、博物館を身近に感じてもらえる機会を提供していきたい」としている。

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