JICA駒ケ根 VRルームとギャラリー公開

隊員の派遣国の様子を視界360度全方位カメラ映像で見られるVRルーム
国際協力機構(JICA)駒ケ根青年海外協力隊訓練所(駒ケ根市)は、訓練所を訪れる見学者にJICA事業をより理解してもらう目的で、今月から隊員の派遣国を映像で紹介するVR(仮想現実)ルームと、JICA初代理事長の緒方貞子さん(享年92)をパネルで紹介するメモリアルギャラリーの一般公開を始めた。JICA駒ケ根は「多くの皆さんにご覧願いたい」と呼び掛けている。
VRルームは、訓練所内のメディアルームに新設。4台のプロジェクターを使い、隊員やJICAの現地スタッフが派遣国で撮影した視界360度の全方位カメラ映像を、部屋の前方と左右の3面(縦2・4メートル×横約10メートル)に設けたスクリーンに映し出す。
現状ではキルギスやウガンダ、ペルー、パラオなど5カ国の街並みや風景、JICAが現地で行う事業を紹介する映像が見られる。昨年3月、JICAと包括連携協定を結んだセイコーエプソン(諏訪市)がプロジェクターなどを貸与し、映像の投影技術を提供した。VRで紹介する国は今後、増やしていく予定という。

JICA初代理事長の緒方貞子さんの功績をパネルで紹介するメモリアルギャラリー
また、緒方さんのメモリアルギャラリーでは、5枚の大型パネルで緒方さんの経歴や初代理事長としての功績を紹介。設置モニターで緒方さんの写真と共に視察先や著書で残したメッセージを放映している。
緒方さんは、大学教授や国連難民高等弁務官を経て2003年10月から12年3月までの約8年、JICA初代理事長を務めた。在職中は精力的に海外視察を行い、現場のニーズに合わせて事業を展開する「現場主義」を重視。その姿勢が高く評価された。19年10月に死去。
JICA駒ケ根は「パネルの展示を通じ、人々が恐怖と欠乏から免れ、尊厳を持って生きられる社会をつくろうという『人間の安全保障』の実践に力を注いだ緒方さんの取り組みを知ってほしい」としている。
VRルームとメモリアルギャラリーの見学は事前の予約が必要。問い合わせはJICA駒ケ根(電話0265・82・6151)へ。