4年ぶりワカサギ「大公」取り 諏訪湖漁協

1年目のワカサギ(小公)を保護する目的で漁師たちが取った大公。初日は11・5キロが水揚げされた=諏訪市渋崎の諏訪湖漁業センター
諏訪湖漁業協同組合は4日から、昨春にふ化した2年目のワカサギ「大公」の捕獲を諏訪湖で始めた。今春に卵からかえった当歳魚「小公」を捕食する習性があり、翌春の採卵資源にもなる小公が”共食い”されないようにする狙い。こうした資源保護のための大公取りは4年ぶりになるという。漁協の許可を得た組合員が通常より目の粗い投網と刺し網で大公のみ狙い、初日は11・5キロを水揚げした。
漁協によると、先月行ったワカサギの試し取りで大公が多く取れたことから、実施を決めた。主力事業であるワカサギ採卵は今春、全国湖沼への卵の出荷を断念せざるを得ないほどの不振に。諏訪湖への自湖放流分も十分確保できず、今後の資源不足への危機感が背景にある。
大公取りは週4日、午前2~5時の間に行う。終了時期は状況を見て判断する。漁師8人が許可を得ており、初日はこのうち4人から、体長11センチ前後の大公が諏訪市渋崎の諏訪湖漁業センターに持ち込まれた。”共食い”の実態を証明するかのように、同3~4センチの小公を飲み込もうとしている大公も掛かった。

大公の体長は11センチ前後。小公を”共食い”している魚も網に掛かった
渋崎沖で投網を打った漁協理事の飯田義明さん(71)=諏訪市文出=は、2時間半で2・8キロを水揚げ。「かなり取れた印象。(採卵期に)遡上できずに残った魚が多いのではないか」と推察した。藤森惠吉組合長は「あらゆる手を打ち、大事な当歳魚を残していきたい」と話した。
藤森組合長によると、お舟祭り前と盆前にそれぞれ、小公を主とするワカサギ投網漁を限定的に解禁し、地域の需要に応える考え。例年9月初旬からの漁期や漁の自主規制に関しては、県水産試験場諏訪支場(下諏訪町)が魚群探知機を用いて実施する資源量調査の結果を加味して対応を決める意向だ。
冬の観光資源でもあるワカサギ釣りは例年、関係機関・団体による秋の連絡会議で対応方針を決めている。