送迎ボランティア「中沢オーライ」始動

中沢区民による送迎ボランティア「中沢オーライ」を利用する女性=5日、駒ケ根市中沢
駒ケ根市中沢区と中沢支え合い推進会議は、通院や買い物に出掛ける住民を支援する送迎ボランティアで、市内2例目となる「中沢オーライ」を立ち上げた。区内の交通弱者(70歳以上)の移動手段を他の区民が担う互助活動。5日、1人目の利用者を送迎し本格的に始動した。
中沢区では2017年度に行ったアンケート調査から、区民の困り事の3割を、外出時の移動手段の確保が占めると分かった。会議では21年度に「送迎の仕組みづくり検討班」を立ち上げ、近隣地域の先行事例を研修するなどし、昨秋に送迎ボランティアを発足。準備期間を経て、利用開始の運びとなった。
中沢区全域と隣接する下平区の一部で、自宅と目的地間の移動に利用できる。会員登録(年会費1000円)が必要。利用の2日前までに依頼する。運行時間は午前8時~午後4時(土曜午後と日曜、祝祭日、年末年始の12月29日~1月3日を除く)。燃料代として3キロまで100円を支払い、3キロ以降は1キロごとに20円が追加される。
車両は、運転手となる協力会員の自家用車と区管理の福祉車両(車いす移動車)を使う。協力会員は現在17人。団体の宮脇三広班長(70)は住民の関係が希薄になり「送迎を気軽に頼めない」現状があると指摘。将来的には送迎範囲を広げ利便性を高めたい考えで「気軽な地域タクシー」のような存在を目指す。
利用者第1号の林はるゑさん(99)は91歳で運転免許を返納後、公民館講座に参加する際は隣人の車に同乗させてもらい、買い物は移動販売車やこまがねデマンド型乗合タクシー(こまタク)を利用している。この日は氷見山の自宅から約2キロ離れた中沢郵便局まで中沢オーライを利用。「安価でありがたい。月1回の通院にも利用したい」とし、同じ区民の送迎は「安心感がある」と笑顔を見せた。
市によると、送迎ボランティアのうち、通院や買い物の送迎を目的とした活動は市場割区の団体に続いて市内2例目。伊藤祐三市長は「(交通弱者支援を)行政だけで担うのは難しい」とし、中沢オーライが「長く続くように市も支えていく」とした。
問い合わせは事務局の奈須野博仁さん(電話090・4365・2733)または唐澤泉さん(同090・4462・4458)へ。