諏訪湖のヒシ対策 早期からの刈り取り有効か

水草ヒシの効果的な刈り取り方法を検討するため、調査区画内で専用船を使って刈り取り作業を進める関係者ら=6月21日
県は今年度、諏訪湖に繁茂する浮葉植物ヒシの効果的な刈り取り時期や場所、方法などを検討する事業を行っている。諏訪市の諏訪湖間欠泉センター前の湖内に調査区を設けて実施。例年、水質浄化を狙いに主に繁茂ピーク時に刈り取っているが、種を落とす前の早期から刈り取ることが繁茂の抑制や底層溶存酸素量(底層DO)の改善などに効果的だと明らかになれば、早期から良好な景観形成が実現できる可能性があるとしている。
2016年に環境基本法が定める「環境基準項目」に底層DOが新たに追加されたことに基づき、諏訪湖での測定地点を検討するために行う事業の一環。成長過程で窒素などを吸収して水質浄化に一定の役割を果たす一方、景観悪化や湖底の貧酸素化をもたらし、船舶航行の妨げにもなっているヒシの効果的な刈り取り方法のモデル化を目指す。
業務は環境コンサルタント会社、いであ(東京都)に委託。間欠泉センター前の繁茂区域に25メートル四方の9区画を設定し、現地調査を実施。5~8月にかけて3区画ずつ、時期を変えて刈り取る。同時に、ヒシ繁茂下の底層DO値の常時観測、水質・底質調査、流向流速の計測、ワカサギの餌となるユスリカなど底生生物調査も行い、刈り取り時期や場所の違いによる底層DOへの影響を調べる。
5月中旬に3区画で刈り取ったのに続き、6月下旬には別の3区画の刈り取りを済ませた。例年繁茂面積が最大となる8月に残りの3区画を含め専用船を使って刈り取り作業を進める。
いであ国土環境研究所応用モデリング部主任研究員の畑恭子さんは「8月ごろから種が落ち始めてしまうため、それが毎年なかなか減らない要因とも考えられる」とし、「早期から刈り取ることが効果的だと分かれば、同時に景観と水質浄化の効果が期待できる」と話している。
今後、ヒシなど水草の繁茂状況と、水質底質や流向流速、DO濃度の関係をモデル化し、今年度末に諏訪湖創生ビジョン推進会議で報告する予定。底層DOは魚介類を中心に水生生物の生息を健全に保つための重要な指標で、測定地点は今後約5年かけてデータを蓄積して定める。