部員一人の岡谷東高野球部 感謝胸に長野大会

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最後の夏の大会に向け、打撃練習に取り組む岡谷東高の小松大輝さん

夏の高校野球長野大会がいよいよ幕を開ける。甲子園を目指す参加72チームの球児の中で、岡谷東高校3年の小松大輝さん(18)は同校でたった一人の野球部員だ。9日から熱戦が始まる今大会には茅野・岡谷東・箕輪進修の連合チームの一員として出場する。「これまで支えてくれた人たちに結果で恩返しがしたい」。周囲への感謝を胸に集大成の舞台に立つ。

2年前の春に入部した時は3年生3人、2年生1人の先輩部員がいたが、その年の夏の大会後に3年生が引退すると、2年生も退部して部員は小松さんだけになった。苦楽を分かち合う仲間がいない環境に「寂しかったし、不安もあった」というが、大好きな野球を辞める選択肢はなかった。それからずっと部員一人で練習を続けてきた。

平日はバットを振り込むなど一人でもできる打撃練習を中心に取り組み、週末は部員不足の学校同士で組む連合チームの合同練習に参加。そのたびに、諏訪市の自宅から辰野高や箕輪進修高のグラウンドまで母沙織さん(40)が車で送迎してくれた。個人練習では監督や女子マネジャーにサポートしてもらい「自分には応援してくれる人たちがたくさんいる。その思いに応えたかった」。走り込みや筋力トレーニングなど、地味でつらい冬場の練習も一人で乗り越えてきた。

入部当初に「ホームランを打つ」という目標を立て、持ち味の打撃に磨きをかけてきた。確実性を高め、飛距離を伸ばすにはどうすればいいのか。「自分自身の課題と向き合う中で成長できた」と小松さん。その言葉通り、今季の練習試合では本塁打をマークした。4月から岡谷東の監督を務める小山英樹教諭(40)は「部員一人という状況の中で、本人しか分からないつらいこともあったと思う。それでも向上心を持ち、自分に足りないものを考えて前に進んできたのは本当に偉い」と感心する。

昨夏の大会は初戦の長野南戦で5打数3安打1打点と活躍し、連合チームのサヨナラ勝ちに貢献した。今大会はシード校の長野日大が初戦の相手だが、3番打者で主軸を担う小松さんは「自分の力がどれだけ通用するか楽しみ。いい投手と聞いているが一本打ちたい」と闘志を燃やす。同じ境遇の他校の仲間と力を合わせ「最後は悔いなく、笑顔で終われたらいい」と話している。

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