元隊員清水さんが体験証言 731部隊学習会

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731部隊について証言する清水英男さん(左)

安保法制の廃止と市民の願いを実現する駒ケ根市民の会は8日、戦時中の満州(現中国東北部)で細菌兵器の開発を進めていたとされる関東軍防疫給水部(通称・731部隊)について考える市民学習会を、JR駒ケ根駅前ビル・アルパで開いた。同部隊が人体実験を行っていたとする元隊員の体験証言を聴講。飯田市平和祈念館が元隊員の証言などのパネル展示を見送った問題に関しても取り上げた。

体験証言者の清水英男さん(93)=宮田村大田切=は1945年3月、14歳で731部隊に入隊。病原菌の基礎知識を学んだ。ホルマリン漬けの人体の標本が並んだ部屋に入った時の様子を、「目を開けていられる状況ではなかったが、(見ないと)後で上官に質問された時に返事ができない。無理をして目を開けた。あらゆる臓器がずらりと並んでいた」と振り返った。

「(部隊は)少年隊員を利用した実験をしていた可能性もある」と指摘し、先輩研究者からもらった蒸しパンを食べた後、高熱に見舞われた自らの体験を証言。1週間後に注射を打ってもらい熱が下がったが、注射を受けた事実を口止めされたという。

清水さんは帰国時に、部隊について口外しないよう約束させられ、戦後長く話さずにいたが、2016年から証言を続けている。「若い皆さんには過去を顧みて未来の子どもを幸せに導いてほしい」、「次世代に負の責任を負わせることは本当につらいが、事実は事実として正確に受け止めてほしい」と訴えた。

このほか、飯田市平和祈念館を考える会事務局長の原英章さん(74)が、同館の731部隊の展示を巡る問題に関して話した。展示が見送られたパネルには清水さんの証言も含まれている。

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