慶応大藤田ゼミ 旧山一林組事務所に研究室

研究会の名称が書かれた看板を設置した慶応大学の藤田康範教授(左から2人目)と学生ら=岡谷市の旧山一林組製糸事務所
慶応大学経済学部のゼミ「藤田康範研究会」は、岡谷市中央町の旧山一林組製糸事務所(国登録有形文化財)内に研究室を設置した。「シルク岡谷」の歴史や文化の経済的視点からの研究をはじめ、オンライン上の仮想空間(メタバース)を活用した街の復元など岡谷の産業の分析、発信を行っていく。8日、同事務所の研究室入り口に看板を設置した藤田教授は「岡谷は日本の資本主義の発祥の地の一つ。それを第三者として発信していきたい」と語った。
応用経済理論が専門の藤田教授の研究会では、2016年度から諏訪地方のPR動画の製作などを行っている。昨年1月はメタバースに、岡谷美術考古館で開いていた作品展の出展作品が並ぶ同大の三田キャンパスを作り、11月にはメタバースを活用してオペラ「御柱」のPRを行った。
このほかにも、市内の古民家に滞在しながらオンライン講義を受けた学生版の「ワーケーション」、同市のフードロス(食品廃棄)削減を目指した取り組みなど市内で活動の幅を広げている。研究室の設置は、それらのつながりが縁で実現した。
研究室は、重役室として使われていた同事務所2階の洋室(約6帖)に設置。今年度は、経済データを基にしたシルク岡谷の分析、インスタグラムなどSNSを活用した歴史、文化の研究内容の発信、メタバース空間での大正から昭和初期にかけての岡谷の街の復元やシルク岡谷のPRイベントなどを予定している。
ゆくゆくは地元小中学生や市民を対象にした講義など、社会貢献活動にも取り組みたい考え。藤田教授は「できることは何でもする。岡谷でいろんな方たちと関わらせてもらいたい」と話している。