豚ぷん堆肥 タマネギ栽培試験で有効性確認

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出来を確かめながら収穫する北澤さん

諏訪市と県、農業関係団体でつくる同市農業技術者連絡協議会とJA信州諏訪が、豚のふん尿を原料にした「豚ぷん堆肥」の有効性を調べるために昨年10月から行ってきたタマネギの試験栽培で、同堆肥のみで育てた株は化学肥料を使ったものに比べて玉伸びは劣るものの、収穫数が1割以上増え、「根の張りがとても良い」(同農協すわこセンター営農指導係、北澤慎悟さん)ことが分かった。

輸入肥料の高騰を受け、化学肥料に比べて5分の1程度と安価で、資源の地域内循環にもなる豚ぷん堆肥の活用促進に向けて行った。

同市湖南田辺の休耕田(約40平方メートル)を起こして豚ぷん堆肥で土づくりをした上、▽化学肥料を全量▽化学肥料と同堆肥を半々▽同堆肥のみ―の3方法で苗各500本を植えた。先月末に収穫、乾燥させて計量し、出来をみた。

収穫量は化学肥料のみは299玉、計約97キロ、化学肥料半減は239玉、計約83キロ、同堆肥のみは339玉、約98キロで堆肥のみの方法が最も多かった。凍霜による抜け落ちが少なかったためで、「土が柔らかく細かくなり、定植後にしっかり根が張れたと分かる」(北澤さん)。1玉の平均重量は半々で育てたものがもっとも大きく、同堆肥のものが最小でその差は17%ほど。食味に大きな違いはなかったという。

これらの結果から、豚ぷん堆肥は「栄養分は化学肥料より劣るが、一般家庭で使うには十分の大きさに育つ。有用性が確かめられた」と北澤さん。化学肥料を半減した株が最も玉伸びが良かったのは予想外だった―ともいい、来期は凍霜害対策を施して再度、比較試験を行い、結果を裏付ける計画だ。

豚ぷん堆肥は市内の養豚農家が豚のふん尿におがくずやもみ殻を混合して1次発酵させ、同農協が回収。同市豊田有賀の堆肥舎で3カ月~半年の熟成を経て頒布している。土中の微生物を増やして土質を充実させるために農作業の前の土づくりで用いることが多く、市内を中心に常連の農家が利用している。

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