2023年7月15日付
昨年、茅野市内のメーカーを取材した際、従業員を育てるのに「人材育成」ではなく「人財育成」という言葉を使っていると聞いた。私自身は聞きなじみがなかったが、近年は企業や団体で使用頻度が増えているらしい▼採用活動を支援する、ある企業の代表者によると、「人財」と表現する上で大切なことがあるという。単に「社員を大切にしている」との社側の姿勢を示すだけでなく、その言葉に込めた思いや、裏打ちされる制度を社内外に打ち出すことが必要―と▼高校新卒者の採用では企業による学校への求人申し込みが7月から始まった。高校生の就職活動と聞くと、8年ほど前、企業の元採用担当者ら諏訪地域の女性数人が、高校生が地元企業の人事担当者らと面談する「高校生の企業研究会」を企画したことを思い出す▼少子化などで若者の労働力不足が懸念される中、企業側には人材確保のきっかけに、生徒側には進路を考える一助にしてもらう。そんな取り組みだった。高校生の主体的な企業選択の場とし、離職防止を図る狙いもあった。企業活動を通して地域に貢献してもらう、まさに「人財」育成の活動だったと感じる▼もっとも、あえて人財育成と言わずとも、風通しがよければ社員間で自然に語られ、人育ちにつながる良き伝統のようなものもあるだろう。従業員や職員は企業・団体の存続に欠かせない有形、無形の財産である。