茅野の開発業者ら ジビエ普及へプロジェクト

「私たちが出来ること―命への感謝プロジェクト」の関係者
茅野市の別荘地などの開発事業者7社でつくる茅野市開発事業者連携部会は、ジビエ料理の消費拡大によってシカの捕獲を推進し、適正な個体数に減らすことで獣害の防止と共存を目指す「私たちができること―命への感謝プロジェクト」を発足した。主催者らが14日に市役所で記者会見し、ゴルフ場でのジビエ料理の提供など、今後の取り組みをアピールした。
同部会は市内の別荘地で発生する諸問題の解決に向けて約10年前に発足した。蓼科エリアでは、シカによる樹木や農作物の食害やゴルフ場での糞害、道路への飛び出しによる交通事故が深刻化。同市は有害鳥獣捕獲によって年間約1500頭を駆除しているが、食肉への利用率は1割程度にとどまるという。
昨年開いた連絡会で駆除したシカの多くを廃棄している現状が議題に挙がり、同プロジェクトを立ち上げた。日本ジビエ振興協会と同市蓼科のレストラン「オーベルジュ・エスポワール」が共催し、市や茅野商工会議所、長野日報社などが後援する。
スタートを切る今年は7月末~11月に、市内5カ所のゴルフ場レストランで、国から安全な食肉処理の認証を受ける「信州富士見高原ファーム」(富士見町)で加工された八ケ岳産のシカ肉を使ったメニューを販売。来年以降もゴルフ場でジビエ料理の提供を続けて利用客の理解の向上を図り、将来的には市民や市内の飲食店などにも消費を拡大させる狙いだ。
6月16日には、同振興協会代表理事で同レストランオーナーシェフの藤木徳彦さんが、ゴルフ場の料理人を対象にジビエのレシピと調理法を紹介する講習会を実施。現在、各レストランが提供する料理を考案しているという。
会見で蓼科ビレッジの両角明部会長は「生き物たちから生じる問題を一方的な害で済ませるのではなく、命を敬って有効活用し、共存する道を探る」とし、藤木さんは「官民連携で鳥獣害対策とジビエ振興に取り組む際の模範になる」と語った。後援者を代表し、今井敦市長は「鳥獣害対策や循環型社会の構築についてみんなで考えるきっかけになるのでは」と期待した。