2023年7月23日付

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地上設置型の太陽光発電について条例を検討する県環境審議会の専門委員会を傍聴していたところ、地域住民への周知あるいは質問・意見を受け付ける方法が話題になっていた。インターネットの利用が当たり前になっている現代では、デジタル機器に不慣れな人への配慮が必要だということが委員から強調されていた▼便利な情報ツールが進歩している現代だが、その進歩によって情報があふれかえってしまっており、かえって届けたい人に届けたい情報が届きにくかったり、必要な情報を探すのが大変だったりする印象もある▼ならば、例えば昔ながらの自治組織の回覧板なら手渡しするのだから必ず目に留まるだろうと思えば、携わっている役員さんたちから「意外と見てくれないものなので、新聞で告知してもらえると助かる」と言っていただいたことが何度もある。広報や宣伝は難しい▼時代をさかのぼれば、公的機関が使っていたのは「高札」だった。1873(明治6)年に明治政府が出した「五榜の掲示」を最後に撤廃されたという。印刷などの情報技術が進んだことが背景にあるようだ▼2018年まで飯島町で開催されていた江戸情緒を楽しむ祭り「お陣屋あんどん市」では、町内の人通りの多い場所に告知の高札が立てられ、それをメディアが取材することが恒例だった。古い宣伝手法を使うことで、逆に注目を集める工夫が光っていた。

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