平和の尊さ考える 赤穂公民館で矢澤さん講座

「特攻隊に感動と熱狂の上伊那の子どもたち」と題して講演する矢澤静二さん
駒ケ根市内の3公民館でつくる市公民館協議会は22日、恒例の平和講座を同市の赤穂公民館で開いた。地域住民ら約30人が参加。「特攻隊に感動と熱狂の上伊那の子どもたち~誰が、何が、そうさせたのか」と題した日本教育史学会員の矢澤静二さん(71)=伊那市西春近=の話を聴き、平和の尊さについて考えた。
矢澤さんは、太平洋戦争末期に旧日本陸・海軍が特攻隊を編成した経緯や当時の様子を説明した。独自の調べによると、特攻による戦死者数は陸軍と海軍合わせて約5500人に上り、うち県出身者は138人。上伊那地域でも旧陸軍伊那飛行場(伊那市)で特攻隊の訓練があったという。
「特攻の目的は戦果にあるのではなく、死ぬことにあった」とし、戦局を変えるための異常な作戦が常態化し、死ぬことが目的化したと解説。特攻の報道はほぼ毎日、新聞に掲載され、各社は部数増のため「特攻隊が勇壮で情動的で、感動的に国を挙げてたたえられ、戦果を一方的に肥大化して報道した」と述べた。
「戦争をあおる当時の新聞報道は教育にも波及した」とし、特攻隊に熱狂する上伊那の国民学校の子どもたちが書いた文集「綴り方特攻隊殿」も紹介した。戦争を知らない世代が増える中「私たちは戦争の歴史から正しい事実を知り、勉強することが大切」と訴え、「体験者らの思いを受け取り、この平和を守っていかなければ」と呼び掛けた。