すがれ追い、後世に 伊那で蜂追い大会

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伊那谷伝統の「すがれ追い」で蜂の巣を見つける会員ら

「すがれ追い」として伊那谷に伝わる蜂追いの大会(伊那市地蜂愛好会主催)が23日、同市ますみケ丘の平地林であった。地蜂(クロスズメバチ)の飼育や食文化の継承に取り組む同会による恒例の大会で、会員を中心に約50人が参加。餌でおびき寄せた地蜂を追って見つけ出した巣を地中から掘り起こした。

伝統的な捕獲方法のすがれ追いは、肉食の蜂が巣と餌場を往復する習性を利用する。あらかじめ林内に、地蜂が好むというスルメイカの切り身を餌として仕掛けておき、集まってくる蜂に目印をつけた餌をつかませ、その後を追って巣の場所を探し出す。

参加した会員らは、目印をつかませた蜂が巣に戻るために飛び始めると「追え、追え」と声を掛け合い、林の中を駆け回った。見失うこともあったが徐々に巣の位置を絞り出し、3回目で特定。巣を壊さないように掘り起こした。秋に開く巣の重さを競うコンテストに向けて育てていくという。

今年は巣の数が少なく「不作」といい、会長の山口政幸さん(74)=同市西箕輪=は「何とか成果を出せてよかった」と一安心。会員の家族など子ども連れの参加もあり、「皆さんが楽しんでくれてうれしい。伝統を後世に伝えていってほしい」と期待した。

昆虫食を研究する法政大学(東京都)4年の矢代直輝さん(23)も初めて参加。「自然相手なので難しさもあるが、見つける楽しさを実感できた」とし、注目が高まる昆虫食としてだけでなく「捕獲の方法も残していかないと」と話していた。

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