モバイルクリニック 新たに医療機器3種

新たにモバイルクリニックに導入する医療機器を確認する白鳥孝市長(中央)ら
伊那市は26日、移動診療車で遠隔診療を行う「モバイルクリニック」に新たに3種類の医療機器を導入したと発表した。「分娩(ぶんべん)監視装置」は通院が困難な妊娠後期に必要な検査を遠隔で受けることができ、妊婦の負担を軽減する。「スマートフォン接続型眼科診療機器」は眼科医の診断が可能に。「12誘導心電図伝送」は医師がリアルタイムで患者の心電図を確認できる。搭載する設備を高度化することで妊婦や高齢者の利便性を図りつつ、診察の精度を向上させる。
分娩監視装置はハート形の小さな機器で、腹部に当てて胎児の心拍数や陣痛の圧力を測定、母子の健康状態を把握する。コードレスで持ち運びでき、装着も手軽という。
モバイルクリニックの妊婦健診はこれまで遠隔超音波検査装置(エコー)を使い、22~33週の安定状態にある妊婦を診ることができた。胎児の心拍や陣痛の測定はできないため、妊娠後期の対応が課題だった。通院の負担が重くなる時期のため、遠隔により受診しやすくする。

モバイルクリニックの車両
眼科診療機器はスマホに装着して目を撮影し、画像を眼科医が診断できるシステムに転送。患者の疾病が目に異常をもたらす可能性がある場合などに使い、結果によって眼科の受診を勧める。
モバイル12誘導心電図は心電図の測定時に12の波形をリアルタイムで医師が確認でき、心臓のどこに異常があるのか把握しやすくなった。データの保存も手軽で、市の「いーな電子@連絡帳」に蓄積。医師や介護関係者らで情報共有もできる。
同日は市役所で報道発表があり、白鳥孝市長は「高度化を図ることでより幅広い患者に対応できるようになった」と強調。分娩監視装置などについては「妊婦の方の負担を軽減し、安心して出産子育てができることを期待する」と話していた。
モバイルクリニックは高齢者ら移動困難者の課題解決などのため、2020年に運用を始めた。専用車両に看護師が同乗し、オンラインで医師が診察。市内の10医療機関が参加している。