2023年7月28日付
援助や配慮を必要としている人が援助や配慮が必要だと周囲に意思表示する「ヘルプマーク」や、支援内容など情報を記入して携帯する「ヘルプカード」。マークは2012年に東京都で配布が始まり、各地に広がった▼知的や聴覚の障がい者、認知症、内臓疾患、妊娠初期の人など外見では援助や配慮を必要としていることが分かりにくい人が、周りから援助や配慮を受けやすくするために所持する。行政や福祉関係者は、こうした人を見掛けたら、電車やバスの席を譲ったり、災害時には安全に避難するために支援をしたりすることを呼び掛けている▼民間事業者が21年に障がい者対象に実施したヘルプマークの調査によると、認知度は約8割にまで上昇した一方で、「役立っていない」「どちらかというと役立っていない」との回答が7割を超えたという。せっかくのマークが十分に生かされていないと感じる▼確かに目の前の人が身に着けていたとしてもどんな対応ができるか自信がない。どんなサポートができるか、具体的に示されるとありがたい▼外見からは見えにくい症状として失語症が挙げられる。当事者らでつくる都内の団体が今月、初の朗読公演を行った。「朗読は楽しく、脳の良い刺激になる」とメンバー。当事者への理解が進めばこうした取り組みも活発になる。ヘルプマークを介した意思疎通は、理解促進の一つのきっかけになる。