スリランカの空の下で(1) ボランティア

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コロンボにある配属先の国家建設研究機構でスタッフと言葉を交わす岡村さん(左)。「スリランカの防災ニーズは多い。環境への意識も高く、日本の技術力が貢献できると思う」

コロンボにある配属先の国家建設研究機構でスタッフと言葉を交わす岡村さん(左)。「スリランカの防災ニーズは多い。環境への意識も高く、日本の技術力が貢献できると思う」

今年5月にスリランカ中央部を襲い、100人を超える犠牲者を出した豪雨災害。同国の防災省に配属されている青年海外協力隊員の岡村充哉さん(31)=広島県出身=は大規模な地滑りに飲み込まれたケゴール市の集落に入り、地元関係者とともに現地を調査。斜面の崩落を防ぐため、日本の環境配慮型の技術を使った再発防止策を提案した。

岡村さんは東京都の総合建設業、日特建設の社員。斜面防災を担当し現場施工に携わってきた。政府開発援助(ODA)による海外事業展開を検討する同社が、スリランカの基礎調査を目的にJICAの民間連携ボランティア制度を活用。社内募集に応じた岡村さんを2014年10月から派遣した。

同制度は途上国でのボランティア活動を通じ、異文化適応能力や課題解決能力などを備えたたくましいグローバル人材を育て、企業の国際化を進めるのが狙い。中小企業には隊員の人件費の8割や一般管理費を補てんする。これまでに50社ほどが利用しているが、県内の実績はまだない。

同社の派遣はスリランカで初の民間連携案件となった。岡村さんはコロンボにある同省の国家建設研究機構で、都市計画や道路計画などへの防災面の助言役を担当。着任直後の14年11月には、やはり大雨で地滑りが発生した同国中心部の山中に翌年1月まで泊まり込み、現地スタッフらとともに復旧工事に当たる任務を乗り越えてきた。

新たな国への事業進出を検討する企業にとって、同制度はメリットが大きいと岡村さんは指摘する。「外国の省庁と接触する際、国際貢献事業で実績や信頼のあるJICAの後ろ盾があるのは大きい。駒ケ根訓練所の派遣前訓練で現地のシンハラ語を習得できたのも強みになった」。国の機関に身を置くことで、基準が不明確な工事の実情など現地の事情にも詳しくなった。

岡村さんはこの12月で任期を終える。帰国後の配属先は未定だが、「国内で経験を積み、国内外で通用する人材になりたい」と話す。同社は同制度を使い、後任として青山拓維さん(27)を10月から派遣した。

隊員の帰国後の就職が課題となる中、JICAは職を維持する現職参加を勧めているが、2014年度の青年海外協力隊・日系社会青年ボランティアの現職参加率は15・3%。現職参加制度を設ける企業は増えているが、利用段階で双方の意向が食い違うなど、結局退職を選ぶケースも少なくないという。

JICAは「民間連携ボランティア制度は企業が人材を送り出すため、人材育成をしたい企業と個人の目的の一致が図れる。現職参加の後押しにもなれば」と期待する。

国際協力機構(JICA)青年海外協力隊駒ケ根訓練所(駒ケ根市)が11月下旬、県内の中小企業・団体をスリランカへ派遣した民間連携事業の視察調査団に同行した。同事業は途上国の課題解決に民間活力を導入するとともに、企業の海外展開を支援する狙いでJICAが2012年に加えた主要事業。企業はどのような形で制度を活用し、国際貢献を行っているのか。駒ケ根訓練所を巣立ち活動する隊員の姿とともに、現地の様子を報告する。

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