2023年7月29日付
「ここのところ毎日、草刈りに明け暮れてます」。市民の暮らしの困り事解決を手助けするサービス業の金澤幸仁さん(諏訪市)は、すっかり日焼けした顔で笑う。この時期の悩みどころは皆同じ▼金澤さんは3年前、飲食店経営から転じてこの仕事の店長を任された。電球交換から室内外の片づけ、洗車、畑仕事―とあらゆる依頼を引き受ける。その丁寧さは評判で、仕事ぶりを気に入られて繰り返しの依頼が増え、今夏はスタッフ共ども東奔西走の忙しさだ▼「仕事を引き受けたお客さんのことはいつも心に留めている」といい、近くを通れば様子を見に立ち寄る。その気遣いと温かさに信頼が生まれて「どうしてもあなたにやってほしい」となる。頼られたらどんな内容の仕事でも要望に応えたい、との気概も心強い▼夏休みになり、学生の就職前の企業見学が盛んだ。あらゆる会社の現場に入れるのは学生にしかできない体験。多様な職種を知ってほしい。が、近頃「自分がやりたい得意の仕事に専念させてくれる会社を選びたい」という学生が少なからずいてちょっと気になる▼この暑さの中、容赦なく照りつける日差しの下で一日中働く人たちの姿が目に焼き付く。金銭のやりとりだけでは見合わないほど体を泣かせて働くたくさんの人の支えで社会は成り立っている。職場体験はそうした人たちの思いにも触れる学びの機会であってほしい。