最後の「戦争体験者のお話を聞く会」 下諏訪

満州開拓について講話した大日方悦夫さん
下諏訪町の下諏訪総合文化センター小ホールで30日、第20回「太平洋戦争体験者のお話を聞く会」が開かれた。約80人が参加し、近現代史研究家の大日方悦夫さんと、県内で戦時体験の聞き取り活動も行うシンガーソングライターの清水まなぶさんの講演を聞いた。
このうち大日方さんは、「『満洲移民』が問いかける歴史~なぜ人々は大陸に渡ったのか、そして悲劇に遭遇したのか」と題して講話。「満州を防衛する関東軍はソ連軍に対して軍事力が不足していた」とし、「平時は給料を払わず戦闘の時だけ参加する兵力として移民は一番手っ取り早い。また、日本に敵対心を持つ現地民がいる中で、治安維持のためにも日本人に来てほしかった」などと語った。
さらに、「世界恐慌の影響で農村の立て直しが課題だった国が、内地の農村人口を減らすことができると考え、両者の思惑が合致して開拓団を送るようになった」と指摘した。
戦争の悲惨さを風化させないように有志らが毎夏開いてきた会。しかし、戦争体験者が少なくなり、今回を最後とした。笠島信明代表(75)は「平和は与えられるものではなく、自分たちで保たなくてはいけない。若い人に戦争体験者の思いを引き継いでいってほしい」と話した。