伊那市ワーケーション事業 中長期滞在対応へ

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自分たちで打ったそばを食べるマリアンヌさんとハイジさん=伊那市高遠町の蕎麦きし野

伊那市は都市圏在住者らが市内で仕事と休暇を両立させて過ごすワーケーション事業の充実に向け、中長期滞在型プランの在り方を模索している。昨年始まった同事業はこれまで短期的な利用だったが、7月からスイス人アーティスト2人が約1カ月の日程で訪れていて、市は初の中長期型プランの事例として注目。課題や需要を分析し、関係人口創出や移住定住につなげたい考えだ。

同市のワーケーション事業は市内でテレワークなどで働きつつ、住民とのディスカッションや農林業体験など多様な体験をする。これまでに関東や中京、関西など20社70人が利用し、滞在期間は長い場合で1週間から10日ほどだったという。

初の中長期型で同市を訪れたのはマリアンヌ・ミュラーさん(57)とハイジ・シェーニさん(70)。7月中旬に来日し、同市高遠町に滞在して制作活動に取り組んでいる。

日程には地元の酒蔵見学、藍染め体験、伊那まつり体験などを盛り込み、アーティストの制作活動に活用できそうな要素を取り入れた。長期滞在に当たり、市は移動手段やWi―Fi(ワイファイ)整備など各種支援の必要性を認識したという。

2人は伊那市について「アルプスがあり、たくさんの鳥や昆虫がいる。スイスの山は岩が多いので違いに驚いた」「すべてが良い意味で衝撃的。スイスに戻っても(伊那市で)得たものが生かされると思う」と話していた。

7月31日には同地区東高遠の「蕎麦きし野」でそば打ちに挑戦した。自分たちで打ったそばを味わい、「とてもおいしかった」と感想。同店の岸野靖典さん(46)は「これを機会にインバウンド(訪日外国人旅行客)の方が体験できる仕組みができてほしい」と期待していた。

市の集落支援員・工藤あずささん(36)は中長期型プランの在り方について「伊那らしさ」が伝わるプロモーションの必要性を指摘。リサーチや発信方法の検討に取り組んでいくといい「仕事と観光をしながら伊那市に親しんでもらい、関係人口の増加につなげたい」と話していた。

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