広島派遣中学生事前学習に「こども日報」

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広島の原爆被害の遺跡「人影の石」を取り上げたこども日報を活用して学習する中学生

駒ケ根市の本多俊夫教育長は7月31日夜、広島平和記念式典(6日)に派遣する市内中学生に向けた学習会で、長野日報で毎週日曜日に掲載している別冊「こども日報」を活用した。原爆の熱線で階段の表面が変色し、人が腰掛けていたとされる部分が影のように黒く残った「人影の石」を取り上げた昨年8月14日付の記事。本多教育長は原爆がもたらした戦争の惨禍の歴史を理解した上で、現地では「五感を働かせて感じてきてほしい」と呼び掛けた。

「人影の石」は爆心地から約260メートル離れた旧住友銀行広島支店の正面入り口にあった階段の一部。爆心地付近の地表温度は3000~4000度に達し、階段に座り開店を待っていた人が熱線を受けて大やけどを負い、その場で亡くなったとみられる。現在は広島平和記念資料館(広島市)に常設展示されている。

資料館を訪れた時、「人影の石」の前で足が止まりしばらく動けなかったという本多教育長。紙面に掲載された階段の写真を示しながら自らが資料館で受けた衝撃を伝え、資料館に行く予定の生徒らに「人影の石」を見学するよう勧めるとともに、広島で得た体験を「誰に聞かれても答えられるように、感じたことはメモしたり心に焼き付けたりして」と助言した。

紙面では、残った「影」について「一瞬で命をうばわれた『だれか』―。その名前は今も分かっていません」と解説が続く。記事を読んで初めて人影の石について知ったという赤穂中3年の生徒(15)は「(影のほかに)何も残さないなんて…」と原爆の威力に驚いた。広島訪問を機に「国際協力機構(JICA)の活動のような世界をサポートする意識を持てるようになれたら」と自らの意識の変化を期待していた。

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