諏訪湖・初島周辺 部分的にしゅんせつ試行へ

試行的なしゅんせつを行う諏訪湖・初島(左奥)周辺。年内に現場着工し、航行に支障が出ないよう3メートルの水深を確保する=諏訪市湖岸通り3
官民でつくる諏訪湖創生ビジョン推進会議は4日、利水と生態系保全を目的とした諏訪湖のしゅんせつを今年度、諏訪市湖岸通り3沖の初島周辺で部分的、試行的に実施することを決めた。観光遊覧船の航路で、現在水深が2メートル程度の区域を選定。運航に影響が出ないよう3メートルの水深確保を目標に、湖底にたまった土砂や底泥をさらう計画だ。同じく航行の支障になっている水草ヒシの繁茂区域と重なり、しゅんせつによって繁殖を抑えられるかも検証する。
試行箇所は諏訪湖観光汽船桟橋の沖合で、面積は2000平方メートル。県諏訪建設事務所は月内に発注し、年内には現場着工したい考えだ。測量で水深が3メートルに満たない場所をつかみ、台船の上に乗せた重機でさらう。
利水・生態系保全目的のしゅんせつは、3月に改定した湖の総合計画「諏訪湖創生ビジョン」に新たな取り組みとして明記し、推進会議にワーキンググループ(WG)を設置した。議論や勉強会を経て希望箇所として挙がった11カ所について、メンバーが必要性や公共性、有効性の観点から点数化。湖面利用や観光利用が多い初島周辺が最も高くなった。
4日はWGで現地を確認した上で、試行箇所として確定した。諏訪湖観光汽船からは「(水深が浅く)泥をかいて出航している状況」と説明を受けた。参加者から出た「もう少し広範囲にやらないと、しゅんせつしてもすぐに埋まる」との意見に対し、県側は「しゅんせつ箇所の状況が来年度どうなるかは確認していく」とした。
諏訪湖では2000年代前半にかけて水質浄化を目的にしゅんせつが行われたが、処分先確保などの課題から中止された経緯がある。今回の事業費は8000万~9000万円の見込み。流入河川の河口部で行う治水目的のしゅんせつに比べ、底泥を含むことから処理費が掛かるという。
推進会議では今後、一般県民に呼び掛け、しゅんせつ工事現場の視察など勉強会を開催する方針。県環境部は工事の前後に生態系に関する調査を行う。一行はこの日、初島周辺の次に優先度が高いとされた同市の諏訪湖ヨットハーバー付近も現地確認した。