南箕輪村ふるさと納税 返礼品に「ジオラマ」

ジオラマの製作に取り組む清水弘康さん=南箕輪村大泉のコレクターズショップ「サザン」
寄付額が前年度の1.5倍で過去最高の3億円超えとなった南箕輪村の2022年度ふるさと納税。返礼品の上位は果樹など農産物が占めるが、19位に「Nゲージ鉄道模型ジオラマレイアウト 複線、引き込み駅 90×60センチ」が185万円の寄付を集めてランクイン。27位、30位、37位、41位、47位にも「Nゲージ」や「ジオラマ」などが並び、ひときわ目を引く。なぜ南箕輪村の返礼品に鉄道模型?。そこには知る人ぞ知るジオラマを個人で製作販売する工房を兼ねたショップの存在があった。
■開業20年「サザン」
同村大泉のコレクターズショップ「サザン」。地元出身の清水弘康さん(53)が自動車販売の営業から脱サラして店を始め、今年9月1日で開業20年を迎える。店名は33歳の時に開いたことから由来する。
アニメ「ガンダム」で模型作りのとりこになった「ガンプラ世代」。開店当初はガンプラやミニカーなども店頭に置いてあったが、清水さん自身が手作りするジオラマの人気も高まり、7、8年ほど前からは鉄道模型を専門に取り扱うようになった。
■知名度を全国区に
ジオラマの出来の良さは評判を呼び、イベントや番組に使いたいと、大手企業やテレビ局などからも引っ張りだこ。年間注文数は、一般からのオーダーも含めて年間200台ほど。製作スケジュールは年末までほぼ埋まる。
ネット販売をいち早く導入し、知名度を全国区にしていったサザン。ジオラマ製作会社は国内に数社あるが、個人で手掛けている例は珍しいという。店の裏手で製材も行うなど、必要なものを自力で賄う姿勢を貫き「だからこそ、ほかよりも自由が利いて早く、安くできる」と清水さんは胸を張る。
■醍醐味を味わって
ジオラマは1万円程度から、大作になると数百万円になる商品も。懐かしさを感じる風景から現代の街並みまで、客からの要望に応じてその雰囲気を緻密に再現する。
休む暇なく作業に励む日々だが、「仕事が楽しすぎて申し訳ないほど。作るのも、売るのも好きなので」と清水さん。22年度からふるさと納税の返礼品に加わり、早速人気を集めるが「より多くの人にジオラマで鉄道模型を走らせる醍醐味を味わってもらえれば」と目を細める。