小川さん 聖光寺で”同好の士”と截金仏画展

第7回を数える小川徳男さん(左から2人目)の截金仏画展。一緒に作品を並べている齋藤さん母娘(右側)
茅野市北山の聖光寺で、蓼科に別荘を持つ小川徳男さん(81)=愛知県犬山市=の第7回「截金仏画展」が開かれている。截金は金箔や銀箔などを細かく切り、仏像や仏画などに貼って装飾する伝統技法。思いを込めて制作した新作「聖徳太子と四天王」などのほか、昨夏の展示を機に誕生した念願の”同好の士”2人の作品なども合わせて額装と掛け軸計14点を展示している。27日まで。
小川さんの「聖徳太子―」は、太子が朗らかな表情でたたずみ、冠や衣装、背景など全体的に截金が施され華やか。囲む四天王は、甲冑を着けて武器を持ち、恐ろしい形相で邪鬼を踏みつける迫力のある姿が黒地の背景に浮かび上がる。
歴史学者の故梅原猛博士の「聖徳太子(全4巻)」を読み、太子がいかに英知をもって平和国家造りにまい進されたかに心打たれ「世の為政者に少しでも太子の遺徳が伝播すればと願って描いた」という。4月に生まれて初めてという手術を経験し、入院先で制作した。
同好の士1人目は、東海大諏訪高の齋藤花帆さん=茅野市城山=。絵を描くことが好きで、小川さんの作品を見て感銘を受けた。昨年のうちに手ほどきを受け、材料を譲ってもらい、LINE(ライン)で指導を仰ぎながら「女神ガネーシャ『夢叶う』」を仕上げた。インドで有名な女神で、困難や障害を取り除き福をもたらすという。インドが好きで歴史も調べたといい、「次は親の神様を描きたい」と意欲を見せている。
もう1人は、齋藤さんの母親の美也子さん。作品は「陰陽地鎮」。「陰陽師が好きで、ありとあらゆる災いを鎮めるため、火焔太鼓の音に合わせ、髪を逆立てながら、ゆがんだ天地をつなぐため、我が身は大地の柱とならん」という意味を込めたという。截金の細かい部分は花帆さんが手伝った。
小川さんは元トヨタ自動車取締役、元トヨフジ海運社長。第一線を退いた9年ほど前から趣味で截金を始め、寺などを巡り、独学で研さん。「截金仲間ができてうれしい。10回までは続けたい。素人の作品だが大勢に見てもらいたい。趣味で始めたい人は声を掛けて」と話している。