働く「リケジョ」と交流 信大フィールドラボ

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県内の生徒たちが女性の技術開発者(左)と仕事や将来などについて懇談した「フィールドラボ」=伊那市の伊那食品工業

信州大学は9日、中高生が県内企業で働く女性の技術者や研究者と懇談し、職場環境や仕事のやりがいなどについて見聞きする「フィールドラボ」を伊那市西春近の伊那食品工業で開いた。理系進路への理解を深め、地元への進学、就職を促進する取り組み。全県の生徒や保護者ら24人が参加し、いきいきと働く県内出身の「リケジョ」の生の声や姿に触れた。

生徒たちはまず同社の研究開発棟を見学。寒天をはじめとした原料をさまざまな角度から試作研究し、客の需要や健康社会に応えている製品開発の現場を見て回った。

富士見町出身の入社3年目で業務用開発チームに所属する花原薫さん(25)は自身の就職活動や仕事の様子を紹介。理系を選択した理由について「得意より長続きする好きなことを優先した」と語り、インターンシップや説明会などに積極的に足を運び、企業理解を深めたことも話した。

南箕輪村出身で商品開発に携わる根橋怜美さん(44)は、同社の産休育休や復帰後の働き方について触れ「仕事と家庭の両立を目指している」と述べた。

数人一組で行った座談会では、この2人のほかに県内出身の3人の開発部門の女性社員も参加。仕事や将来のことなどについて生徒からの質問に熱心に答えた。

松本県ケ丘高3年の生徒は「育休や企業理念をはじめ、地元にすてきな企業があることが分かり進路を考える参考になった」と笑顔。都市大塩尻高1年の生徒=伊那市山寺=は「好きなことを大切にしてという社員の皆さんの言葉を自分の今後にも生かしたい」と話した。

信大は科学技術振興機構の「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」の支援で昨年度からフィールドラボを事業化。2年目の今年度は長野市、松本市などから無料バスツアーを組み、初回の伊那食品工業から10月に開く養命酒製造駒ケ根工場(駒ケ根市)まで5カ所で実施している。

信大理学部の吉田孝紀教授は「県内高校生の首都圏の進学意欲は高く、卒業後も地元に戻らない。グローバルな活躍はもちろんのことだが、県内進学、県内就職も進むよう取り組みたい」と話した。

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