2023年8月10日付
「入るを量りて出ずるを制す」。収入を正確に算出して支出することを指し、自治体などでは財政規律を守る教訓的な意味合いで使われる。人口減少時代に入り、大きな税収増が見込めない中、「入る」部分をどう確保するか重要性が増す▼サイトを通じて寄付するクラウドファンディング(CF)。先日、国立科学博物館(東京)が標本・資料の収集や適切な管理のために実施したところ、たった1日で目標の1億円を突破して話題になった。CFは自治体などでも導入しており、私個人も数回寄付したことがある。興味のある事柄について、取り組みが動いたり、再建が進んだりするのはよいことだし、ちょっとした返礼品もうれしい▼自治体の収入として欠かせない存在となった「ふるさと納税」。総務省によると、昨年度の寄付受け入れ額トップの宮崎県都城市は195億円を超えた。返礼品として牛肉や焼酎などが人気という▼この数字は人口5万人規模の自治体の年間予算(一般会計)ほどに当たる。諏訪、上伊那地方でも寄付額が増えている自治体が多いと聞くが、200億円近い金額は桁違いだ▼これだけの規模になると、返礼品確保に無理をきたしていないか、担当職員に負荷はかかっていないか-などとマイナス面を想像してしまう。好調な取り組みでも光があれば影もあるだろう。寄付金額の多寡に過敏にならない仕組みづくりを願う。